きものの基礎は型破りの原点

きものを自分のものにして素敵に着こなしてみましょう!の始まり。きものは十人十色の世界です。きものは想像以上に自由です。それを知るためにはまず着慣れることです。

まず着慣れることです

多様性と自由性

着物が好きだから、といきなり「自分流」という方をお見受けすることがあります。カッコいい、可愛い、おしゃれ、と価値の多様性が幅広く行き交う現代ですから勿論そこは自由です。そこで、皆さんはこんな言葉を聞いたことはないでしょうか?

型破りってカッコいい!

そう思います。カッコいいですね。型破りには、自由や個性という言葉がしっくりきますね。しかし、そもそも『型破り』とは型があることを知っているから出来ること。それが無いのは『型無し』です。歌舞伎役者の中村勘三郎さんがおっしゃっていた言葉でもあります。型破りがカッコいい、それはいきなり何でも良いわけではなさそうです。多様性と自由性には軸が有るということ、きものの世界も同じだと思います。

多様性と自由性には軸が有る

着物の基礎=『型』

そこで、型を破る前に考えてみましょう。着物には「格」や「ルール」があります。着物の世界に入ると、まずこのあたりから習うかと思います。最初は少し難しいかもしれませんが、着方においては習ったことを正しく何度も繰り返してみましょう。なぜなら、それが着物の基礎、着物の『型』だからです。着物を着るという行為を通して、また着物の歴史の学びを通して、色々な種類の着物を見て、なぜこのような『型』ができあがってきたのかを理解するように努めましょう。

理解してくると徐々に、だれでも自由に着こなせると思います。こう変えたらだめなのかな? 昔と違い、今ならこう解釈してもいいのでは? こんな組み合わせもしていいのでは? などと思うことがあるかもしれません。着物と言えど、歴史と共に変化しているのですから、それこそが、型破りの原点なのだろうと思います。

以降では、型破りの原点となる着物の基礎=『型』について、簡単にご紹介したいと思います。

ささや流着物の基礎

着物の基礎:着物の種類

着物の種類は大きく分けて2つに分類できます。たった2つと思われませんか? そうです。簡単に分けると「社交着」と「普段着」の2つなのです。もはや現在は着物をお召しになる機会が減っているため多くが社交着として当てはまることでしょう。

1. 社交着

社交とは人と人とのお付き合い。社会での交際を意味しており、冠婚葬祭、式典、パーティーなど比較的多くの人が集まる場を示すことが大半です。社交着とは基本的に相手に敬意を表する為の衣装です。着物に於いて、お慶びの席では縁起の良い吉祥文様などで身を纏い、艶やかな質感で場を華やかにすることも主催者に対する配慮です。洋服に於いてもドレスコードがあるのも同じことですね。相反して相手の気持ちを汲んだ慎ましやかな喪服も社交着です。

社交着の代表的な種類

結婚式・公的儀式などには:
非常に格調高い=第一礼装(打掛姿・黒留袖・大振袖・喪服・五ツ紋付色留袖)

(白打掛)

披露宴・入卒式・初釜などには:
格調高い=準礼装(色留袖・振袖・訪問着・三ツ紋付無地・付け下げ訪問着)

(色留袖)

パーティー・お茶会・観劇・華やかなお食事会などには:
やや格調高い=盛装(付け下げ訪問着・裾模様・紋付無地・紋付江戸小紋・付け下げ小紋)など

(訪問着)

(紋の種類や紋数・柄付けによって格は多少変化します)

2. 普段着

日常生活でワンピースやデニムを着るように、気軽に着てよいもので対外的な人を対象とせず、自分の好む心地よい色柄で機能的なものからお洒落に装う自由度の高い衣装です。着物に於いても同じですがやや季節感を意識すると良いでしょう。

普段着の代表的な種類

お稽古・お食事会・お出かけなどには:
日常性・お洒落=外出着(無地・小紋・大島紬・結城紬・絣紬)

夏祭り・リラックスシーンなどには:
お洒落・機能=室内着・仕事着・一部外出着(浴衣・木綿、ウール着物・作務衣)など

(小紋)

着物のあり方も変化していく時代です。だからこそ、基本をおさえていればある意味どんな自由も素敵だと思います(但し、社交着において特に第一礼装・準礼装には格を重んじて頂きたいです)。

(浴衣)

型破りしたい方、そうでない方も、まずは基礎をしっかり身につけることを大事にして欲しいと思います。

尚、お持ちのお着物が何に相当するか、どうコーディネートしたらいいか、判断にお困りの方は当店ささやにご相談ください。